2017年5月22日月曜日

ロータス・エキシージ 「合理的かつアブノーマル」

  ロータスに乗る。クルマ趣味としてはこれに勝るものはない!!みたいなことを、政治評論家の青山繁晴さんも仰ってます。トヨタの横置きエンジンを搭載した軽量マシンを、とても乗用車とは言えないレベルの『オモチャ』に仕立てるなんて、とても夢のあるメーカーだと思います。ホンダがS660のパワーアップ版を企画しているそうですが、ロータスの株主であるトヨタには、競り負けて簡単に潰れないような支援をお願いしたいです。もっともマレーシアの政府系ファンドが後ろについている国営プロトンの傘下ですから、せっかく守ってきた伝統の英国ブランドを大事にするでしょうけども。

 

  初めっから見当違いなことを書いちゃうかもしれないですが、ロータスは木目のインパネを復活させるべきじゃないの!? いかにもイギリスのクルマです!!という主張があって・・・このブランドのサーキット以外での価値を増してくれる要素になると思うのですが。これをホンダやマツダがやっても全く様にならないですし、現行エヴォーラのように上品にアルカンターラ巻きのイタリアンで上品な仕様は、どこにでもある高級セダンみたいでいたってフツーです(日本市場にはアルカンターラが多すぎる!?)。

  現在新車で購入できるエキシージは『350スポーツ』というグレード限定のようで、本体価格は、ハードトップ、タルガトップ共に972万円です。確かにトヨタ86やフェアレディZの代わりに気軽に選べるモデルではないっすねー。釣りが好きすぎてヨットハーバーにクルーザーを所有したくなるくらいに趣味に対して『ガチ』な人じゃないとなかなか手が出ない。86やフェアレディZでも十分に楽しいじゃん!!・・・と思っている私のような初心者にはあと10年経っても辿り着ける境地じゃないですね。そもそも東京じゃ近所にサーキットが無いし。

  ロータスには『エリーゼ』という廉価モデルが573万円〜で設定されていますから、とりあえずこれで十分満足できるんじゃ・・・という考え方もあるでしょう。『ロータス』というブランドのクルマを買うならば、「エキシージは高い、エリーゼは安い」という結論になりがちなんですけども、不思議なことに日本市場全体を見たときに、この2台の置かれている相対的な位置を考えたならば「エキシージは安い、エリーゼは高い」となります。

  冒頭にも書きましたがトヨタの1.6Lを使う138ps、あるいは1.6Lスーパーチャージャーを使う220psというスペックに、1000kg前後の車重ならば、300~400万円くらいで買えるマツダ・ロードスターやアバルト124スパイダー、あるいはミッドシップでもホンダの新型スポーツカーで楽々達成してしまうであろう数字です。ポルシェ718ケイマン(619万円)を考えても、いくらでも他で代替できる中で、それなりに価格競争を考慮した数字が573万円となっています。

  それに対してエキシージは、1100kgのボデーに350psをひねり出すトヨタ製V6スーパーチャージャーです。マークXにも同様のスペックの設定があったよ!!といっても1700kgのボデーに、スポーティさはないトヨタの縦置きトルコンAT。FRですからトラクションのかかり方も全然違うので、もはや比較する意味がないし、マークXスーパーチャージャーにエキシージを上回るスポーツカー的な魅力を見つけるのはちょっと難しいです。そりゃ乗り心地とか静音性はいいでしょうけど。

  972万円のいう設定ではありますが、その「非日常」な価値を考えると、(世間ではお買い得と言われる)日産GT-Rのようなコスパを秘めたクルマです(GT-Rはインテリアにもコストが割かれているからさらにすごいですけど!!)。国沢さんの怪情報によると、マツダがロータリーエンジンを使った新型スポーツカーの市販を決めたそうですが、これも900万円程度まで跳ね上がったセレブなクルマになりそうですね。その時にはエキシージのコスパがもっと明確になるんじゃないかと思います。

  ちょっと話題が逸れますが、マツダRX9のユニットが、当初から開発継続が明言されていたようなロータリーによるレンジエクステンダーを使ったピュアEVならば、「これじゃロータリーじゃねー!!」とか言われそうですねー。もしマツダが独自のハイブリッド研究をしていたならば、『ロータリー&電気ターボ・スタートブースター』というロータリーの細い駆動トルクをモーターで補う理想的なユニットが真っ先に思いつきそうなものですけどねー。国沢さんがいうには「マツダはピュアEVしか無理」だとか・・・。ほんとかよ。
  

 

  (573万円の)エリーゼと全く同じ『バスタブ構造』のシャシーに、全く変化しない内装。それに(450万円の)マークXスーパーチャージャーのエンジン。実際は縦置きと横置きの違いがあるから別物で、エキシージに使われるのはエスティマやアルファードといったFFミニバン用の横置きV6です。だけどこれを組み合わせて972万円ではどこのメーカーもなかなか出せないような「非日常」なクルマとして成立した!!という意味では、非常に価値ある一台だと思います。

  おそらくホンダが同スペックのミッドシップを『S3000」とかいう名称で売るならば、1500万円くらいの価格をつけそうだし、マツダが現実に取り組んでいるピュアEVスポーツでは、同程度の加速性能は出せると思いますが、どうやっても1100kgに収めるのは無理そうです(価格と性能でコルベットの対抗モデルになりそう)。トヨタの支援があるとはいえ、『生き馬の目を抜く』がごとく圧倒的な開発力で世界の市場を跳躍してきた日本メーカーをしても、なかなか付け入る隙を与えないロータスって改めて凄いブランドなんだと思います。それでも毎年赤字を垂れ流し続けているようですが・・・頑張って欲しいですね。


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2017年5月16日火曜日

ランドローバー・レンジローバースポーツ 「これをスポーツカーと思う人はいないけど、車名がややこしい」」

  なんだかもう色々とややこしくて、ディーラーの人に訊いても返ってくる説明がさらによく分からないブランドの代名詞といえばランドローバー。某有名ライターの著書によると、「日本のレンジローバー・ユーザーのほとんどが勘違いしたまま乗っている」などと嫌味を書かれています。もう触らぬ神に祟りなしなのかもしれないですが、こういうカオスなブランドこそが「輸入車」らしいとも思うのですよ。トヨタやホンダに乗っている人が「勘違いしている」なんてまず言われないですから。ものすごくややこしいですが、ランドローバーが1970年発売したレンジローバーというモデルによって世界的に知られたので、「ランドローバー・レンジローバー・〜」みたいな名前になるようです。

  そのライターさんがおっしゃるには、日本のカーメディアではしばしば「レンジ
ローバーはイギリス貴族のクルマ」と紹介されるが、実際に開発を主導したスペンサー=キング氏に取材すると、設計段階では完全に軍用車両から派生した牧歌的なクルマでしかなかったという証言が得られたらしい。よってレンジローバーのユーザーは日本のインポーターがでっち上げたイメージ戦略にハマってんだよ!!つまり俗に『電通の自作自演』っていう虚構に満足してしまっているから『勘違い』なんだそうです。確かに2017年版の世界の自動車オールアルバムのLANDROVERの紹介にも「70年代になると・・・中略・・・英国王室ほか、世界中のセレブが愛用する高級車としてのポジションを確立する」と書かれてますね。

  軍用車両といってもあくまで偵察・連絡用として第二次対戦までは広く馬や二輪車が使われていたようですが、まず最初にアメリカが重機関銃を装備できる4WD車を馬の代わりに使おうと考えたようで、1940年に入札を行なったところ「アメリカン・バンタム」という弱小メーカーがこれに応じたようです。しかし生産能力が明らかに乏しかったようで、すぐさまフォードとウィリス・オーバーランドの2社にライセンス生産を命じたとのことです。この車両を拿捕した日本軍は終戦末期にトヨタに製造を命じたことがランクルの起源だと某WEB百貨辞典に記載されていますが、実際にトヨタがランクルの前身モデルをラインオフしたのは朝鮮戦争が開戦した翌年の1951年です。

  トヨタの社史には「警察予備隊への納入目的に作った」とされていますが、実際に長らく採用されるのは旧日本軍との強いコネクションを持っていた三菱でパジェロの前身モデルが選ばれます。なぜトヨタが採用されもしなかったランクルを試作しそのまま量販へと移行したのか? アメリカ人が書いた本によると、アメリカ軍から直々にトヨタに注文が出されていて、ジープを量産していてそのノウハウを活用してランクルを発売したとあります(真偽のほどは調査中です)。



  ランドローバーの発売が1948年なので、ウィリス(ジープ)→ランドローバー→ランクルの順番に登場したことになります。ジープは軍用車両ながら、生産能力増強が進まず年間3000台足らずという北米ビッグ3に遠くを呼ばない水準で、次第に米国市場でも下火になり南米が主力市場になっていきました。ランドローバーは世界初の特殊空挺部隊として知られるイギリスSASに採用されます。トヨタ・ランクルも1958年には早くも米国へ輸出が行われました(え?これって軍用じゃね?)。ウィリス・ジープがモタついている隙にシェアを拡大したのがランドローバーとランクルだったようです。

  経営不振になったジープは、アメリカンモータース(AMC)に身売りします。といっても米国自動車産業にその名を轟かすあのリー・アイアコッカ(当時はフォード重役)も、この1969年のタイミングでは買収提案をあっさり却下するなど、なかなか買い手が出てこなかったようです。ちなみにリー・アイアコッカはこのあと独裁者ヘンリー・フォード2世によって解雇され、クライスラーに移ったのちにAMCから取得したジープ・ブランドを復興しますが、これはどうも二番煎じだったようで、もともとは1969年にボロボロのジープを買い取る決断をしたAMCの幹部ロイ=チャイピンこそが本物の目利きだったようです。

  あくまで想像の話ですが、おそらくロイ=チャイピンは、アメリカ的な価値観が音を立てて崩れていく、ベトナム反戦運動吹き荒れる中で、豪華なリムジンから素朴なジープへ人々の関心は移っていくであろうことを完全に見抜いていたんだと思います。乗用車が限界まで豪華になった途端に、SUVの人気が高まる。まさに2010年代に世界で起こったことに近いことが、70年代のアメリカですでに起こっていたんですね。

  後部は幌で覆われ乗員のシートは布を張っただけのキャンバスシート。横転したら即死。そんな安全もへったくれもないジープに、ハードトップを取り付けて、ホールディング性能に優れるバケットシートを取り付けたところ、すぐに大ヒットしたらしいです。1969年のAMCジープの奇跡の大成功を知ってか知らずか、1970年にランドローバーから、ジープと同様にハードトップ、バケットシート、さらに本格的なフルタイム4WDが装備されたレンジローバーがイギリスで脚光を浴びます。


  1970年代にAMCジープとレンジローバーの登場で、一気にファッショナブルな存在になったSUVですが、1970年代といえばオイルショックやアメリカでの排ガス&燃費による規制が厳しくなって自動車メーカーにとっては冬の時代だったはず。しかしAMCジープ、ランドローバー、ランクルを始めとしたSUVは成長と遂げ、1981年にはメルセデスからも軍用ベースのGクラスが登場。1990年代になると、フォード・エクスプローラやハマーH1など、3大メーカーからも盛んに発売されるようになります。これにはちょっとしたカラクリがあるようですが、本筋から逸れるので別の機会にしましょう。

  ランドローバーは1989年にランドローバー、レンジローバーに続く第3のモデル・ディスカバリーを発売。1994年にはBMW傘下に入ります。1998年にはジープが属していたクライスラーもダイムラー(メルセデス)によって支配を受けるので、英米の2大SUVブランドがドイツの両雄によって一時は所有されることになりました。どうやらこの前後ぐらい(1998年頃)が現在のSUVブームにつながる起爆点になるようです。ドイツのロードカー文化に取り込まれてすっかり消化されたランドローバー、ジープの残骸は、ドイツあるいは日本の自動車産業がリードしてきたロードカー文化の影響を強く受けて変質してしまいました。

  BMWと新型ラダーフレーム(X5、レンジローバー用)を共同開発したランドローバーですが、なぜかBMW以上にロードカー性能にこだわるようになったようで、世界的大ヒットとなったポルシェ・カイエンに敗れ去ったBMW&ランドローバー連合軍の無念を果たすべく、BMWと新たにロード性能を高めたシャシーを開発したようです。しかし完成前にランドローバーはフォードに売却され、その後2005年に打倒カイエンを掲げたニューモデル「レンジローバー・スポーツ」を発売します。・・・もうややこしい。このクルマに大きく貢献しているのはBMWなのか?フォードなのか?

  ランドローバーも来年2018年で創立70周年を迎えることになりますが、その足取りはジープやランクルなどとリンクしつつも、1940年〜の第一世代、1970年〜の第二世代、2005年〜の第三世代へとざっくり四半世紀くらいのタームでブランドの存続する意義・立ち位置を変えてきていることがわかります。「軍用の時代」が終わり、「SUV保護法の時代」にブランドの価値を定着させ、「ロードカーSUVの時代」へと突入しています。

  初期の軍用ランドローバーの血を引くモデルはすでに廃盤となっていますが、第二世代に生まれた「レンジローバー」とさらに第三世代のホープとなった「レンジローバー・スポーツ」の2台が、SUVの最先端に立っているのは素晴らしいことです。M&Aの波になんども揺られて主が変わった不安定なはずのブランドが、世界中のメーカーがうらやむモデルを持っている!!これこそ開発者の情熱がほとばしっている証左ではないでしょうか?


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2017年5月7日日曜日

ジャガー・Fペース 「清々しいまでの聖戦」

  世の中わかんないことだらけです。先月にビックカメラが商品決済にビットコインを導入したとのこと。両親にマッサージ機などの健康器具を買う以外で家電量販店に行くこともないので、どーでもいいですけども、そもそもビットコインを利用するくらいにフィンテックな人々が、今更に実店舗で買い物することなんてあるのだろうか?どうやら中国人観光客目当てだそうですけど。

  それと同じくらいに謎なのが、ジャガーがSUVブランドとして再生しようとしていること。SUV専門ブランドであるランドローバーとジャガーはエンジンなどのコンテンツを広く共用していて、実質的に1つのメーカーとして一体化されていますけども、これまでスポーツカーとセダンに注力してきたジャガーにまでSUVが展開され始めました。アメリカにも中国にも「ジャガーにSUVを作って欲しい!!」という客がいるから・・・それってどんな客だろう!?

  「世界で一番下衆なクルマを作っているのはドイツメーカー」とずっとブログで言い続けて来たんですが、その度に複数の方々から大いなる批判を頂戴しました。いくら試乗体験や理論値からの推測等々を並べ立てても、「ドイツ車的なものが至高」と思い込んでいる人々には無力で、どんなに静粛性に疑義があろうとも、どれだけエンジンが回らなくても、どれだけミッションが不出来でも、「エンジン音がよく響いて、低速トルクが豊富で、変速スピードさえ早ければいい」という世界観の人々には・・・どうやら本当に理解できないみたいです。

  VWがNOx偽装を行ってもそれさえも正当化しようとするカーメディアがあった!!いやこの一件をまともに批判ができているメディアはほぼなかった(大人の理由で!?)!!「悪いのはアメリカと日本・・・ドイツが悪いはずがない。」この件に何らコメントできないライターは、心の奥底から本気でそう思っているんだと思います。このことがどれだけ他のメーカーに迷惑がかかっているか!?そんなことは全く御構い無しです。世界中で展開する下世話なブランディングはいいとしても、世界の自動車産業から多様性を奪ったのは、他でもない強欲な3つのドイツ系グループです。そして挙句の果てに「虚偽」かよ!! 例えばロールスロイスとベントレーの所有権を巡って醜態を晒し、さらにこれを2つに引き離してそれぞれ「解体中」なのが、BMWとVWの両陣営です。そしてランドローバーも散々にドイツ資本にボロボロにされた被害ブランドの一つです。

  日本の多くのカーメディアには絶対に出てこない論調でしょうけども、世界のユーザーは「ジャガー・ランドローバーよ!!今こそドイツに復讐しろ!!」と盛り上がっているんです。日本でも沢村慎太朗というライターが、最新の評論集「午前零時の自動車評論12」の中で『バトル・オブ・ブリテン』というドンピシャな表題を掲げていますが、これは2014年の「ジャガーXE」に関しての考察でした。もちろん『ジャガーXE VS BMW3er』がテーマです。沢村さんの結論は「圧倒的な制空権を持つドイツに対して、XEはかなり善戦するのでは!?」といったものでした(やはりオッサンライターはドイツ贔屓が身に染みている・・・)。日本ではさっぱりですけども、北米ではジャガー・ランドローバーの追い込みが凄まじいペースになっています(2017年3月は前年同月比で18%増)。

  同じ「12巻」にはポルシェ・マカンについての評論もあります。そろそろ勘のいい人は気がつきたと思いますが、このマカンを取り巻くライバル関係こそが新たな『バトル・オブ・ブリテン』の戦場になっています。事の発端は・・・BMWがランドローバーを傘下に収めた1994年に遡ります。いや厳密には、もともとランドローバーを所有していたブリティッシュ・レイランドなる商社(実態は政府系ファンド)が無能だったのが悪いです。ブッシュ政権下で急成長したハリバートンが、アメリカの有名ブランドを全て抱えこむみたいなものですね。マーガレット・サッチャーとかいう極右のお人形・宰相の時代の「政商」に、トヨタ、ホンダ、フォードに対抗する経営能力などあるはずもなく、経営不振で崩壊後にランドローバーはハイエナBMWの餌食になります。

  BMWとランドローバーの協業によって誕生したモデルがX5です。しかし素人のBMWが参画したためか、その完成度はやや中途半端で、VW&ポルシェによって制作された後発の「カイエン」の前に惨敗を喫します。X5開発後にあっさりとBMWにポイ捨てされたランドローバーは、同盟国アメリカ・フォードに拾われて支援を受けます。フォードはランドローバーの独立性を損なう選択は避けて、フォード・エクスプローラと統合されることもなく、ランドローバーは打倒カイエンを見据えた新型シャシーを2004年に開発します。現行のレンジローバー・スポーツです。これこそが『バトル・オブ・ブリテン』の第一ラウンドですね。残念ながら完全にドイツ贔屓な日本市場はもちろん、北米でも人気があったのはカイエンでしたので、このラウンドに関してはドイツ優勢です。

  第二ラウンドは沢村さんがぶち上げた「XE VS 3er」で、最初のラウンドに比べてだいぶジャガー・ランドローバーが盛り返した感があります。ランドローバーがポイ捨てされたことへの恨み?がXEの設計に執念として現れています。そしていよいよ『バトル・オブ・ブリテン』第三ラウンドですが、標的はもちろん日本でもヒットした「マカン」。特に最上級グレードの「マカン・ターボ」は約2000kgのボデーに400psのV6ツインターボ・・・いかにもアウディが関与しているのがバレバレなスペックです。いつの間にかDQNなユーザーを大勢抱えてSUVの世界で大手を振って歩くようになったポルシェに対して、ランドローバーの怒りが頂点へ達した!?

  しかしランドローバーの手持ちは、2200kg級のランドローバー・オリジナルシャシー(2種)か、フォードからもらった直4横置き専用のマツダが作ったシャシー(1700kg程度)しかないです。「マカン・ターボ」を撃墜する適当なシャシーが見当たら無い!!相手もアウディシャシーを使って来たのだから、こちらもジャガーシャシーを使おう!!アウディの400psのV6ツインターボに対して、こちらはデフォルトで340psのV6スーパーチャージャーだ!!しかしスペック的にちょっと分が悪いので「Fペース・S」というグレードに専用にスープアップされた380ps版を投入。この対応は相手を強烈に意識してますね!!これぞ『バトル・オブ・ブリテン』。出力のピークはマカンターボが400ps/6000rpmなのに対して、Fペース・Sは380ps/6500rpmとなっていて、これは見事にポルシェの寝首を奪った!?

  相変わらずドイツ贔屓の日本では、Fペースの注目度は今ひとつですが、北米ではジャガーランドローバーがプラス18%なのに対して、ポルシェがプラス4%足らずで、総販売台数もジャガーランドローバーがポルシェの3倍です!!これは原動力となった「Fペース」の完勝と言っていいのでは無いでしょうか?めでたし、めでたし。・・・全くの余談ですが新たな刺客が迫っています。VR30DETT(400ps/6400rpm)を搭載する「次期インフィニティQX50」。英独日の三つ巴の戦いが・・・そして世界の高級車はこの3ブランドへと収束していくのでは!?それくらいに魅力的な戦いですね。


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2017年4月29日土曜日

ベントレー・ミュルザンヌ 「本物を知る男のクルマ」





  イギリス版の「マジェスタ」ですね。ちょっとわかりづらいかもしれませんが、全長は5575mmもあります・・・の割にはリアシートが狭そうに見えます。日本に正規輸入されているベントレーは、この「ミュルザンヌ」と「フライングスパー」のセダン2種と、フライングスパーのクーペ版である「コンチネンタルGT」、そして新鋭のラグジュアリーSUV「ベンテイガ」の合計4車種あります。セダン2種は3000万円超なのがフラッグシップの「ミュルザンヌ」で、2000万円を切る比較的にヤングなセダンが「フライングスパー」とキャラが分けられています。

  ショーファー・リムジンというと「ロールス・ロイス」が有名ですが、バトル・オブ・ブリテンで活躍したスピット・ファイアなどに搭載された栄光の「マーリン」エンジンの流れを受け継ぐロールスロイスのエンジンは2016年のファントム生産終了によって終焉しています。残った現行モデルに使われているのは「6.6L・V12ターボ」ですが、これは下請けのドイツの田舎くさいエンジン・サプライヤーから供給されています・・・これではもはや伝統のイギリス車と言えるのかな?「シングルモルトのロールスロイス」ことマッカランが、スペイサイド産のピートではなく、ザールラント産のコークスで焚いていたらダメじゃないですか?

  そのドイツの下請けエンジン・サプライヤーをよーく調べてみると、なんと日本でもクルマを売っているあのメーカーだった!!え〜・・・あそこのエンジン(特にディーゼル)はえげつないくらいに騒音が下品じゃないですか!!しかもエンジンはフリクションが少ないというかスカスカというか・・・高性能車としての生命感に欠ける。マセラティや日産のエンジンと比べると全面的に「迫力不足」のエコ設計なんですよねー・・・こりゃもうロールスロイスは終わってますね。

  そもそも「ピュア」なイギリスのエンジンなんて今時あるのでしょか? MINIもドイツ製(設計)エンジンだし、ロータスは日本製(設計)。最近になってジャガー・ランドローバーが、フォードやマツダのエンジンを卒業して、インジウムというモジュラーの自主設計エンジンを開発しましたが、おそらく6気筒以下のイギリスのオリジナルってこれだけじゃないですか? ケータハムやゼノスといったスポーツカーはフォード(マツダ)やスズキのエンジンで・・・。アストンマーティンも今後はメルセデスのユニットを使うのだとか。

  ベントレーもVWの12気筒&8気筒を使っております。イギリス人にはプライドがないのか? やっぱり日本人の感覚だと、エンジンにオリジナリティを持っていてこその自動車メーカーだろーよ・・・という思いが湧いてしまいます。日本車でよそのメーカーからエンジンを供給されていたら何を言われるかわかったもんじゃないです。日産スカイライン200tもだいぶ反発されてましたっけ・・・。

  冨山和彦とかいう元産業再生機構にいたコンサルタントが「新型スープラにBMWのエンジンが乗る時代なんです!!これまではありえなかったことが起こっているんです!!」とか嘘くさいことを先月発売の著書で書いてましたが、新型スープラはOEMですから、同じような例はたくさんある!!5年前からあるトヨタ86も同じだし・・・。余談ですが、この冨山さんはどうもポンコツっぽいですわ。「AI時代だから、これから世界で活躍したかったらMITかスタンフォードで修士とれ!!」とか書いてますけどなんかズレてない!?再建中の会社の社員をやたらとバカにした内容が目立つので、現場で結構衝突しているんでしょうけど、こんなコンサルが乗り込んできてメーカーの方針とか決めちゃったら不幸ですね・・・。

  さてそろそろ生粋のベントレーファンからはツッコミが入るかもしれませんが、「ミュルザンヌ」に搭載される6.75LのV8ツインターボは、VWが作ったエンジンではありません。ベントレーが長らく(約半世紀ほど)ロールスロイスと同じグループにいたときから受け継いでいて、独自に開発を続けている伝統の「6.75L」のマルチシリンダーエンジンが、このモデルにだけ搭載されています。ちなみにコンチネンタルやフライングスパーに使われるエンジンはVWフェートンと共通のW12気筒・・・。なんでそんな非効率なことをする必要があるのか!?それは「ミュルザンヌ」とそれ以外のワンオフモデルに関しては、王室御用達ということで、トヨタがセンチュリー用のエンジンを作っているのと同じ理由なんでしょうね。

  「ミュルザンヌ」は本物志向の大人向けモデルで、「コンチネンタル」と「フライングスパー」は見かけがよければなんでもいい派のクルマ。搭載エンジンはVW製でもBMW製でもスズキ製でもなんでもいい!!クルマにこだわりがない層向け・・・という訳ではないでしょうけども。ベントレーみたいに顧客の気持ちを汲んでモデルを作り分けるくらいの配慮ができるブランドが日本にも現れるといいんですけどね。福島県で生産している「VR30DETT」エンジン搭載モデルを日本では売らないで、国内市場向けにはわざわざメルセデスの北京エンジン工場!?から直4ターボを栃木県の組み立て工場に持ち込んで搭載しているメーカーありますけど・・・ちょっと白けてしまいますよ。

  ミュルザンヌのドアは分厚くていいですね。このクラスのリムジンに要求されるものは、走行性能ではなくてまずは安全性。トラブルフリーや衝突安全性ではなくて、「防弾性能」ですね(笑)  セダンやワゴンが売れないと言われていますが、そもそもユーザーがクルマに何を求めているのか?メーカーにはイマイチよくわかってないんじゃないですか? ロールスロイスにエンジンを供給しているドイツの田舎メーカーが仕立てたフルサイズセダンは、新型になってだいぶ軽量化されていますけども、これに燃費重視の多段式ATと高回転を使わないディーゼルが組み合わされたら、ほぼほぼ設計思想は「プリウス」じゃないですか? そうじゃないんだよなー。マジェスタをよく研究してよ!!



  

  


2017年4月25日火曜日

アストンマーチンDB11 「フェラーリを超えた!?」

  昨年くらいからアストンマーティンが正規ディーラーを日本で展開し始めました。他のブランドがどんどん日本から去っていく中で新たに展開するのはなかなか珍しいケースです。おそらく日本で長く働いていたアンディ=パーマーCEO(元日産)の肝入り戦略だと思われます。東京、名古屋、大阪に加えて、人口増加によりついに日本の市町村で6番目の人口を誇るようになった福岡。そして「東洋のジャガー」ことMAZDAのお膝元の広島。合計5箇所に作られたとか。そして去年発売された新型モデル「DB11」もなかなか念入りにプロモーションが行われていたようで、あちこちの媒体で見かけました。

  1台3000万円前後ですから月に1台売れれば、年商3億ですから1つの営業拠点が生きていくのに最低限経費は稼げそうです。ちなみに国内販売台数は毎月30台前後で推移していますから、5つの営業所くらいならやっていけるようです。しかもメンテナンス部品も日本で広く商っている某有名ドイツブランドと共通のものが増えているようなので、修理も楽になるのかな? 各営業所が100人の顧客を抱えて、3年ごとに乗り換えさせれば、月に1台のオーダーになります。外国人の顧客なども含めれば5営業所合計で500人なんて楽勝でしょうし、メルセデス、ポルシェ、BMWが大衆化して魅力が薄れる中で、セレブのこのむブランドとして今後はシェアを伸ばすのではないかと予想されます。

  誤解を恐れずにいうならば、同じGTカーブランドとして「アストンマーティン」と「BMW」「BMWアルピナ」は全く真逆の存在と言って良さそうです。
「BMWユーザーはアストンマーティンには手を出さない」
「アストンマーティンユーザーはBMWには興味はない」
「BMWユーザーはアストンマーティンを仲間だと思っている」
「アストンマーティンユーザーはBMWを全然別のクルマだと思っている」
つまり両ブランドは「水と油」です。

  20年くらい前は、徹底的に本格志向(サーキット志向ロードカー)のアストンマーティンに対して、あくまで乗用車のお手本を貫くのが本質のBMWで「設計理念」がかなり違っていたのに、BMWの方がなぜか「速い」なんて悲しい現実がありました。しかし大資本のフォードグループの傘下で再建が進められ、一流のマテリアルを手にいれたアストンマーティンは、市販ロードカーの限界を超えるような強烈な性能を示すようになりました。

  自然吸気のドライサンプエンジン(低重心)のアストンマーティンに対して、燃費にこだわって高回転を封印した新時代のBMWは、どちらもFR車とはいえさすがに「別の次元」になってしまったと言って良さそうです。BMWがたとえ他のエンジニアリングで優位を駆使したところで、エンジンパワーと燃費無視のレスポンスで絶対的な性能差をつけられてしまって、もはやその「序列」を変えることができなくなりました。そのままFR最速レベルになったアストンマーティンに対して、ポルシェのお買い物カーであるボクスターにも加速性能で見劣りするようになったBMW(しょうがないことですが)。

  BMWに限らずメルセデス、ジャガーなどなど高性能な乗用車で名を馳せたブランドが、大衆ブランドからユーザーを掠め取る「セコイ商売」に転落したことで、これらのブランドはどうもクルマ好きが目指す「頂点のブランド」にはなりにくくなった気がします。手軽な国産スポーツカーで長年我慢して(スポーツカーなんて十分に贅沢だけど)、将来成功したら(宝くじでも当たったら)、どんなクルマを買うのか?もはやポルシェ、AMG、アルピナ、Mという時代じゃない!? フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン、ロールスロイス、ベントレー、マセラティ、アストンマーティンの「英伊7大ラグジュアリー」に着地すれば・・・極めた!!って気分になれそう。なになに!?ブガティ?ケーニグセグ?パガーに?知らねーよ。

  じゃあ3000万円あったら何買うよ?・・・488GTB、LP700、570は狭いかな? コンチネンタルGT、レイスはデカければいいってもんでもないなー。カリフォルニアT、グランカブリオは優雅で良さそう。けど最高にスマートなのは・・・DB11かヴァンキッシュSかも。匿名のブログっていいですねー!!幼稚園児みたいなノリの話ができる!!でも我々が住んでいる日本は、自由が保証されている資本主義社会ですから、1995年に24歳だったイーロン=マスクに起こったことと同じことが誰にでも起こりうるわけです。

  たまたま作っていたサイトの利便性が広く認められて、その開発ソースが丸々300億円で買収されるなんてことも。そうしたら国税庁という名前のヤクザが半分の150億円を無条件で持ち去って行くかもしれませんけど、残ったお金で7ブランドを全て揃えることができますし、それぞれ200回乗り換えてもまだお金は残っているでしょう。でもDB11と日産シーマ(親乗せる用)とレクサスLC(買い物用)があればもう十分かな(笑)。

  何が言いたいかというと、日本が「本当に」すべての人にチャンスが与えられている社会であるならば、本当にかっこいい「成功者のクルマ」も必要なんじゃないの。特に日本メーカーにはなかなか作れないようなクルマ・・・それこそが本当の意味での「輸入車」。このブログは「輸入車ブログ」と題しておきながら、日本メーカーでも十分にライバルモデルを仕立てられるような「偽・輸入車」ばかりを取り上げてきてしまったなー。これからは「本物の輸入車」だけを扱っていきます!!というつもりはないですけど、とりあえず日本で輝こうとしている「本物」のアストンマーティンにはウェルカムな賛辞を送るべきだなと思った次第です。






  

  



2017年4月19日水曜日

ジープ・チェロキー 「米国のポルシェ・・・ではなかった」

  売れてますねー。SUV全体の好調さは、やや一服した感がありますけど、昨年くらいからニョキニョキ伸びてきたのが、FCAグループ傘下の「ジープ」です。日本のユーザーって「つまらない日本車ばかりが売れる・・・クルマを解ってない!!」みたいな悪口をしばしば言われますけど、ジープやポルシェもよく売れるし、アバルトやアルピナに関しても中国やアメリカを差し置いて、本国の次に売れる重要な市場なんだとか。だからフェラーリも日本専用モデルを作るし、復活のアルピーヌもいち早く日本でお披露目してます。せっかく買うならこだわりのクルマが欲しい!!ストーリー性がとても大切な日本市場だと思います。

  三菱が1953年に保安隊(のちの自衛隊)に納入する輸送車両として米国ウィリスのライセンス生産を始めましたが、元々はウィリスの軍用車に使う商標が「ジープ」で、その名前が様々なグループの間を転々としていく中で、1つのブランドとして成立するようになったようです。つまりトヨタのプリウスという「商標」が何らかの事情で、GMやテスラの手に渡り、その傘下で「プリウス」という名のブランド名でディーラーが展開されるようなものですね。クルマに興味がない人でも、フェラーリ、ポルシェ、BMW、ベンツ、ジープくらいは知っていると思いますが、この中でジープだけが、元々は米国のブランド名ではなく、三菱ジープという車種名から認識していると思われます。

  何だか「伝統」がありそうなブランド名に感じますけども、案外中身はよくわからないですね。現在日本に正規導入されている現行モデルは、「チェロキー」「グランドチェロキー」「ラングラー」「コンパス」「レネゲード」・・・この5台の中で本格クロカン仕様のラダーフレーム・シャシーを使っているのは1台のみです。「コンパス」のベースは三菱RVRなどで使う三菱GSシャシー、「レネゲード」のベースはフィアット500Xと同じもの、「グランドチェロキー」の設計はダイムラー=クライスラーの時代に遡るもので旧Mクラスと共通です。そして「チェロキー」はアルファロメオ・ジュリエッタのシャシーを使っています。・・・ということでオリジナルの軍用仕様の生き残りは「ラングラー」のみ。

  え?ジープのほとんどのモデルはハリアー、CX5、エクストレイル、フォレスターなどと同じで「なんちゃってクロカン」つまりSUVだったのか!!確かにクロカンにしては乗り心地がエレガントですから・・・やっぱりという感じですけど。それにしてもフラッグシップ格の「グランドチェロキー」はメルセデス。「チェロキー」がジュリエッタのシャシーを使っていたのにはちょっとがっかりという人もいるかも。でもジープの本当の面白さは、軍用モデルではなくて、世界の自動車産業の集大成的なブランドになっていることじゃないですか?メルセデス、フィアット、アルファロメオ、三菱とここまで色々なブランドからシャシーをかき集めているブランドなんてなかなか無いです。VWがMQBで何でも作ってしまう時代に、ブランド内で共通に使われるシャシーが1つも無いなんて!!

  Cセグ乗用車をベースにする「チェロキー」の設計に近いモデルとして、ランドローバーの「レンジーローバー・イヴォーグ」や「ディスカバリー・スポーツ」があります。どちらもフォード・フォーカスが使うシャシー(マツダが開発)です。「チェロキーVSイヴォーグ」はどちらも個性的なエクステリアを持っていて、「ジープVSランドローバー」のイメージリーダー対決といった構図なんですけど、実はその中身は「アルファロメオVSマツダ」だった!!・・・これはこれでなんか別の意味でスポーティな感じがしてワクワクします。もう「伝統のクロカンブランド」ということは忘れましょう!!そしてシャシーだけでなくエンジンやミッションもなかなか味わい深いです。

  「ジープ・チェロキー」のアルファロメオ設計のシャシーに載るのは、「タイガーシャーク」というFCAグループの結晶とも言えるスペシャルエンジンです。「世界の自動車エンジンの父」三菱とクライスラーが共同で開発したGEMAエンジンを、クライスラーが独自に熟成させ、やはり三菱の設計したライセンスを買い取ったフィアットがダウンサイジングターボに採用した「マルチエア」機構を合体させています。ちょっと三菱色が濃いですね。これにZFが開発した最新鋭のFF横置き用の9速ATがいち早く投入されています。



  対する「レンジローバー・イヴォーグ」は、VWを脱帽させたクラス最強のフォード&マツダ設計シャシー(VWはフォードの設計者を引き抜いて5代目ゴルフを作った)に加えて、マツダが悪ノリして作ってしまった、圧倒的なフィール重視の「直4ショートストローク」というなかなかありえない設計の「MZR」エンジンをターボ過給(フォード・エコブースト)して使っています。ロードスターに載せるつもりで多少はトルクを犠牲にしてでもレスポンスに優れるエンジンを、車重1700kgもあるSUVを駆動させるために載せるというのはなかなかの暴挙かも。そしてミッションはやはりZFの横置き9速ATを採用しています。

 
  チェロキーもイヴォーグも500万円〜の価格設定ですが、日本の「ファミリーカー」的な設計に終始していて、ワイルドさを感じない「なんちゃて」SUVを選ぶよりも、デザインを始めいろいろ手が込んでいて、台数が出過ぎな日本のSUVよりもリセール価格も期待できるでしょうから、新車購入でもあまり負担感は無いですね。シャシーからエンジンから他所のものを使ってはいますけども、それでも可能な限りベストなものを選んでますねー。イヴォーグのマツダショートストロークに対抗して、チェロキーがアルファロメオの同じくショートストローク直4の「1750TB」を積んでいたら・・・もっと面白かったですけどね。どちらもフェイスリフトもかなり頻繁に行ってますから、メーカー側もとても大事にしているモデルなのだと伝わってきます。さらなる進化を楽しみに待ちたい2台ですね。


2017年4月15日土曜日

シボレー・コルベット 「USカーが世界を覆うとき」 

  「アメ車なんてクソだ!!」・・・まだまだ日本に蔓延するプロパガンダですが、これ一体誰が言い出したんだろ? なんでもかんでもカーメディアの仕業にして片付けるのはなんの解決にもなってないですね。メディアとは、メーカーよりも圧倒的に製品に関する情報が少ないユーザーを助けるという意味で「不可欠」な存在です。資本主義のルールに基づけば、もっと尊敬されていいと思うんですけどね。

  ユーザー同士がSNSで広く繋がっている昨今では、メディアなんて広告主の読者の動向に神経を尖らせている風見鷄みたいなものです。ご存知のように、アメリカと日本の間には、自動車産業における世界で史上最も険悪な「啀み合い」があったのですから、結局のところは「アメ車はクソ!!」というのはある種の国民感情なのかもしれません。それが刷り込まれたのは、どうやら輸出規制や貿易摩擦が巻き起こった1980年代よりもさらに前なようです。

  戦前の日本ではアメリカメーカーによる生産が行われていた・・・と記録にあります(野口悠紀雄著「戦後日本経済史」)。1936年に「自動車製造事業法」を制定し、この法律は「許可会社」に営業税免除などの特権を与え、フォード、GM、クライスラーを強制的に日本から排除しました。この時の許可会社がトヨタと日産です。これだけ見ると戦前の日本政府が国際的な見地で相当に横暴な「立法」を行っているように見えますが、もちろんこれは世界恐慌を受けてのアメリカによる日本への市場締め出し方針への報復処置です。日本はすでに国産連盟からも脱退済みでした。

  この時期に「松下」「日立」や話題の「東京芝浦電気」も急成長したので、戦争によって高度経済成長期やバブル経済が生まれた・・・そんな事を言って「軍国時代」を美化する風潮もあるようです。そして行き詰まる韓国や日本の経済への効果的な打開策として、東アジアの「非常事態発生」が有効ではないか?と考えている(期待している)人もいる?シリアも半島といった文明の衝突地点は、なんとも恐ろしい宿痾を抱えた地域です。

  戦前に相次いで急成長を遂げたメーカーは、そのまま21世紀まで生き延びました。旧財閥系の「三菱」「富士」は同じくナチス協力メーカーとしてその地位を得た「ダイムラー」「BMW」「VW」とともに、現代の自動車産業の規範とされています。世界の多くのメーカーが三菱のエンジンを搭載し、さらに多くの地域がスバル(富士)こそが最高のクオリティカーだと評価していて、最近では特にアメリカ市場でよく売れています。そんなスバルがニューヨーク国際オートショーで、「特大クラス」の戦略爆撃SUVを公開したとニュースになってました。これアメリカ以外に撃ち込むところが見当たらない重量級BOMBですね!!72年ぶりの大反撃!!




  日本人は自動車産業に関してはかなり楽観的な見方をしているようです。確かにここ数年の自動車関連株は旨味が多い。日本メーカーは国内販売が低迷しようとも、世界のどこかに突撃していって、勝手にシェアをもぎ取ってくるから大丈夫だと思ってる。系列サプライヤーも独自に販路を見つけてくるだろうし。中国市場と並んで今後さらなる成長が見込めるASEAN市場で9割以上という異常なシェアを持つことも日本車にとっては追い風です。三菱が世界に誇る「トライトン」(日本未発売)はタイ工場で作られてたりしますが、「三菱」を熱く支持する東南アジア諸国という構図・・・。実はここにフォードがマツダと合弁したタイ工場や、豪州の拠点からクルマを投入して制圧しようしたのですが、全くの空振りで日本市場撤退と同時にASEAN最大のインドネシアからも撤退を発表しました。あの戦争の記憶は・・・。

  さて日本や東南アジアがヒステリックに「偏見」を持つアメリカ車ですが、72年前のような圧倒的な強さを再び見せるんですかね。北米のサイトを見ると「シボレー・コルベット」は55,450米ドル〜です。これはなかなか「天衣無縫」な存在です。同じV8自然吸気を搭載するレクサスRC-Fが64,000米ドル、レクサスLCが92,000米ドルなことを考えると、V8自然吸気の専用設計スポーツカーの価格としては、ほぼ「無敵」といって水準です。

  フェラーリもランボルギーニも東京モーターショーに来なくなって、NSX、GT-R、RC-F、LCの日本価格がぼったくり・・・で販売は限定的で、トヨタ86、マツダロードスターこそがスポーツカーなんだ!!と必死で思い込もうとしている、クルマ難民だらけの日本に、600万円の戦略価格で「コルベット」が降り立ったら一体どうなるんだろう? さらに北米価格では86やロードスターよりもさらに安い25,000米ドルなのに、280psの2Lターボを積んでいるシボレー・カマロもいよいよ日本に投入されるようです。この2台を見て日本のキッズ達は何を想うのか? 「ギブ・ミー・ファン・トゥー・ドライブ!!カモン!!」と諸手を挙げて大喜びする姿がうっすら浮かびます・・・。 


  「アメ車はクソだ!!」と教えられてきた日本人の頭にガツンと一撃をかます2017年になるのかなー。レクサス、AMG、BMW-M、アウディRS、ポルシェによる「枢軸ブランドの支配」「カルテル」の時代を打破して、「真の民主主義」とやらを日本や東南アジアに展開する・・・そんな大転換のタイミングが案外近くにまで迫っているような気がするんです。日独のスポーツカーがアメリカ車に負ける!!とかそういう話ではなくて、レクサスLCもポルシェ911も90,000米ドル、BMW・M4が66,000米ドルといった北米価格に近い水準で買える「ルール」を日本に広げるきっかけになったらいいなーってことです。