2013年3月1日金曜日

PSAグループは早くも苦境から進化を見せている!

  フランスを代表する2つのメーカー「プジョ」と「シトロエン」のM&Aによって生まれたPSAグループは北米や日本ではシェアが小さいので、主戦場の欧州での不況により一昨年から苦境に立たされています。日本市場を狙った?渾身のスポーツカー「RCZ」は、トヨタ86などの強力ライバルの出現で思うように販売が伸びない(ユーザーにとってはうれしいかも・・・)状況です。それでも日本でのプジョー車は「ドイツ車ほど高価ではない」「オープンモデルが豊富で作りがよい」「リアデザインの日本車やドイツ車にはない良さ」などに定評があり、神奈川県や静岡県辺りの別荘地では良く見かけます。

  プジョはこれまで、Bセグハッチバックからフルサイズセダンまでラインナップして、車種ごとに別々のスペックを持っていましたが、今では経営再建のためほぼ全てのエンジンをBMW製1.6Lエンジンにしていて、Bセグの208からミニバンの5008まで同じエンジンになっています(シトロエンも同じ)。これは他社に先駆けての素晴らしい思い切った戦略だと思います(エンジンでリコールが発生したら全車に及ぶが、それはBMWが負担?)。BセグやCセグだとライバルよりもハイパワーのいいエンジンだし、セダンやミニバンでもダウンサイジングエンジンとして十分過ぎるパワーがあります。

  もう一方のシトロエンも不振が嘘のように新型モデルのDSシリーズをどんどん発売しています(不振だから勝負してるのかも・・・)。こちらも新しいデザインが受け入れられていて、日本市場で復活しつつあるアルファロメオやランドローバーと同じくらいは売れています(月400台)。このDSシリーズはトーションビームを使っていて、日本で大人気のトヨタのファミリーカーの趣があります。「DS3」はヴィッツにBMW1.6Lターボエンジン搭載。「DS4」はオーリスにDS3と同じエンジン。「DS5」はエスティマにこれまたDS3と同じエンジンを積んだようなクルマになっています(あくまでデザインは別物ですが)。このシトロエン「DSライン」はあくまでデザインで買うものであって、中身(ドライビングフィール)にはあまり過剰な期待をしない人にとってはとても納得できるものじゃないかと思います(オーリスやエスティマがかっこ良かったら嬉しいですよね)。個人的にはシトロエン車にはセダンのC5に装備されている世界で唯一の乗り心地を実現した「ハイドロサス」のような装備が欲しいと思ってしまいます(C5ももちろん絶賛発売中です)。

  シトロエンDSシリーズは大雑把に言うと、「トヨタの合理的といえるハッチバック・ミニバンを、シトロエン版のデザインにして、信頼性の高いBMWの1.6Lターボエンジンを積んだ」クルマです。輸入車としては価格も十分に押さえられていて悪くないと思います。例えばDS4は本体で約300万円ですが、オーリスにこのBMWエンジンならトヨタでも200万以上の価格になるので、デザインが大幅に向上しているので、オーリスの外装を取り替えて100万円と考えれば納得できます。もっとブランドの知名度を上げていければ、トヨタのデザインに物足りない人をうまく取込めるのではないかと思います。

  プジョもシトロエンも輸入車にしてはお買い得で、小型車になると日本車とあまり価格が変わらなかったりします。それでも内外装はさすがの出来映えで満足感も非常に高いクルマになっています。ブランドの強みである「デザイン力」を武器に、トヨタをベンチマークした車体にBMWのエンジンという最先端の「企画力」を発揮できていると思うので、ブランドが定着すれば確実に業績は上がってくるのでは?と思います。

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