2013年3月8日金曜日

プジョーとシトロエン 日本人が愛するブランド

  プジョとシトロエンは意外なことに北米では販売されていません。理由はいろいろあるのでしょうが、簡単に言うと「フランスメーカーのプライドが北米仕様のクルマを作ることを望まなかったから」というのが両メーカーのファンの皆様の見解です。日本メーカーのように国内市場を無視してまで北米仕様のフラッグシップモデルを作ろうとは思わないようです。

  ドイツ車のように北米や東アジアを強く意識したクルマを作ることは、欧州車としてのアイデンティティの喪失につながるとフランス人の多くは考えていて、そのことは日本車をめぐる環境にもそのまま当てはめることができます。日本の普通車市場ではトヨタだけが国内専用車を多数展開していますが、その甲斐あって日本で5割に及ぶ普通車のシェアを持っています(独占禁止法の上限すれすれか?)。プジョとシトロエンが北米へ進出しないことは「プライド」であると同時に「戦略」ともいえます。欧州におけるPSAのシェアは13%でVWグループに次いで2位です。これは世界シェアでは9位のメーカーグループとしてはかなりの好成績です。VWグループはドイツとチェコ(シュコダ)とスペイン(セアト)の多国籍編成に加え超小型車を売りにして販売台数を伸ばしているので、フランス単独のメーカーであることと、ミドルクラス主体の展開であることを考えれば欧州ナンバーワンのメーカーと言ってもいいと思います。

  また北米や東アジアを意識したクルマ作りをしていないので、日本で販売される輸入車ではフィアット(アルファロメオ)と並んで最も「欧州車」と呼ぶのにふさわしいメーカーといえます。日本のインフィニティ・アキュラ・レクサスとドイツのメルセデス・BMW・アウディが、世界市場(主に北米)で競合する中でお互いによく似ていて個性のないクルマ作りになっているのに対し、プジョやシトロエンのクルマには日独のメーカーにはない「オリジナリティ」を感じます(たとえエンジンがBMW製でも・・・)。どちらがよいかとなるとまた話は別ですが。

  アメリカ人やドイツ人のクルマ好きは、日本人がスカイラインよりもベンツCやBMW3に高い価値を持っていることに驚きを感じるようです。彼らにとってベンツCやBMW3ももちろんいいクルマですが、スカイラインはスーパーカーとも言える別格の存在だからです(日本ではベンツCやBMW3よりスカイラインが安いことも驚きのようだ)。だからスカイラインがあればドイツ車はいらないということでは決してないですが、日本車に無い魅力が輸入車の本質だとするならば、プジョ・シトロエン・フィアットの方がその要素は強いと思います。素晴らしいことに日本にはこれらのクルマの愛好者もたくさんいて、それぞれ日本向けに右ハンドル車(イギリス向けか?)を作って正規販売が続いています。日本のクルマ好きの懐の広さは世界のどの地域にも負けないものがあると思います。北米専用車しか受容しないクルマ先進国のアメリカよりも優れた部分ではないでしょうか?

  

  

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