2013年12月3日火曜日

メルセデスの"汎用進化"が日本を覆う予感

  A45AMGがなかなかの繁殖力を見せています。AMGモデルが600万円台という本体価格もなかなか巧妙です。「メルセデス乗るならAMG」というプレッシャーを気にすることなく乗れる、しかも安いので、とりあえずクルマにかかる費用を圧縮したい人にとってはうってつけのモデルのようです。これまではAMGモデルは新車で買えば1000万円を超えていました。それでも必死で見栄をはろうとする人のために、バッジとマフラーを30万円程度で交換して"偽装"するというパーツメーカーまで存在し、堂々とメルセデス専門誌に広告を出しています。

  街中でチンタラと走るC63AMGを見かけることがありますが、そういうクルマはC200から"偽装"だったりするわけです。まあそんなこんなで日本におけるメルセデスは如何わしい人々を惹き付ける、汚いイメージに塗りつぶされたブランドだったわけですが、今後のメルセデスはそんなイメージを払拭すべく、「人を幸せにする」クルマ作りへとシフトしていくのではないかと思います。

  2004年に発表したCLSをヒットさせプレミアムブランドの第一人者としてデザイン力を見せつけてから、早くも10年が経過しブランドが辿るべき路線もだいぶ変調してきた感があります。SクラスもCLSも新品同様の新古車が700万円程度で市場に溢れていて、ブランドを支え続ける部分が陳腐化しているのが実情です。つまりクルマに関心が薄い人々が気まぐれに購入する類いのクルマへと堕落していて、クルマ本位でユーザーが寄ってくるような価値観が感じられず、日本市場ではジリ貧の状況です。

  そんなメルセデスがこれまでのクルマ作りを改め、クルマが好きな人が純粋に良いクルマとして選ぶブランドへの脱皮が着実に進んでいる様子が、AクラスおよびA45AMGの好調以外にもいろいろと感じられるようになってきました。1つは小型車ブランド「スマート」の次期戦略モデルにRR設計の小型車を投入するというものです。これまでのスマートは三菱が発売していたコルトをOEMして発売していましたが、こんなクルマはよっぽどメルセデスブランドの前に盲目になっている人でないと手を出さないはずです。当然ながら日本市場では大惨敗を喫しました。誰にだってコルト・ラリーアートの方がいいということがわかります。

  とりあえずコルトがVW車を大きく上回る制動力とハンドリングを持つ高性能FF小型車だったいうのは事実で、メルセデスもそれを高く評価してラインナップ化したのでしょうけど、あくまで三菱のクルマなのですから日本人には違和感しかありませんでした。コルトの技術も一巡して新陳代謝が早い小型車市場では、インパクトもなくなったのでいよいよ新しい局面へと移るなかで、ルノー日産と「プレミアムな小型車」を共同設計しました。

  ホンダがS660で軽自動車をMRにして値打ちを付けたのと同じ発想ではありますが、メルセデスがエントリーグレードのクルマにここまでこだわって作るというのは、これまでとは大きく姿勢が変わったことを示していると思います。日本を代表するイノベーションブランドのホンダと同じタイミング、そして同じ土俵でメルセデスが新型車を用意する時代になったわけです。ほかにもまだまだメルセデスが「ホンダ」「スバル」「マツダ」的なブランド展開へ突き進む「予兆」はいろいろありますが、それについては又の機会にしたいと思います。

  

  

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