2014年6月1日日曜日

BMW3シリーズ・グランツゥーリスモ がいまのところは正解?

  日本が誇る伝統のセダン・スカイラインがFMCにより車体が少し大きくなりました。日本で使いにくいというほどではないのですが、早くも「日本無視」といった批判が巻き起こるなど、人気モデルにかかるプレッシャーの大きさを改めて感じます。さらにトヨタのようなベースグレード向けの熟成された「直4HV」を持たない日産は、仕方なしに提携先のメルセデスから2Lターボの供給を受けたところ、ドイツ車(C、3、A4)では当たり前に使われていて表立って批判されることがなかったはずが、スカイラインが採用すると一斉にメディアから「日産は終わった」発言が・・・。なんだかまるで「いじめ」みたいな構造が見ていて痛々しいです。

  スポーツカー以外のFR車が2Lターボを使うことに対しては、もちろん反対なんですが、日産だって「お金を稼ぎたい!」わけですから、その気持ちは解らなくはないです。日産からしてみれば、320iセダンと同じ金額で、燃費も出力も完全に上回ったスカイラインHVを出して、さらに300万円台という「お買い得」なターボモデルも出した訳ですから、喜ばれることはあっても批判されることはないだろうと考えていたはずです。実際このクラスのクルマを考えていた人々からすれば「日産万歳!」と拍手喝采しかないほどに素晴らしいと思うのですが・・・。

  サイズに関しても新型スカイラインが最終的に下した判断は、批判どころかむしろ「理想的な水準」にあると思います。いまや「スモールカー」(Cセグ以下)のゴルフは、今では車幅1800mmに達している上にワゴンボディならば、全長を4600mmを超えるものもあります。ここまで下のクラスが大きくなると、3シリーズやCクラスのセダン/ワゴンは完全に「飲み込まれて」しまいます。なぜ200万円台の優秀な「スモールカー」があるのに、わざわざ500万円もする上に、狭く苦しい車内レイアウトのFR車(3やC)しかもを選ぶのは、なかなか「エキセントリック」な選択と言えます。乗り心地や静音性を比べても、基本的にはFFが設計上有利ですし、最近の「スモールカー」は特にレベルが高いので、モデルによってはCや3を完全に「下剋上」してしまっていると言ってもくらいです。

  そういう現実を突きつけられたときに、「BMWは好きだ」「3シリーズの手頃感もいい」といった購入に前向きなユーザーは、BMWに対して新型スカイラインのような収まりの良い新型モデルを無意識の内に要求してしまいます。まあ端的に言うと、500万円以上も払うのだから、「ちゃんとしてくれ!」ということです。まずは「最低限の所有する喜び」として、クルマの存在感(オーラ)を持つ事でしょうか。ゴルフヴァリアントよりも200万円高い、あるいはカローラフィールダーよりも300万円高いだけの「付加価値」が3シリーツ・ツーリング(ワゴン)にあるのか? というのが見えてきません。もちろんゴルフもフィールダーもかなりコスパに優れたクルマであることは間違いないですが・・・。

  BMW3シリーズ・セダン/ワゴンの最大の弱点は、まったく高級感が伴わない貧相なエクステリアです。まだ周囲も貧乏くさいスモールカーだらけだった時代には、いくらでも虚勢を張れたかもしれないですが、高級車がセダンの専売特許ではなくなり、ミニバンやSUVが代わって高級車として認知されるようになりました。ジューク、ヴェゼル、キャプチャーといった小型SUVの恰幅の良さと比べると、旧態依然なレクサスISやマークXってこんなにちっぽけだったっけ?と不思議な気分にさせられます。

  スカイラインやティアナ、アテンザ、そしてレガシィもサイズが大きくなる予定です。やはりブランドの顔となる「モデル」が、街中において「その他多数」の中で埋もれてしまうのはブランドとして大問題だ!というまともな危機意識があるからこそ、検討に検討を重ねてサイズアップしているのであって、訳の解らないジャーナリストが「日本無視」と騒ぎ立てる必要なんてまったく無いように思います。

  以前、島下泰久氏が2013年版の「間違いだらけのクルマ選び」でレクサスGSは「ベストサイズ」として最高レブベルの評価を与える一方で、発売直後の新型アテンザをGSと同じにも関わらず「大き過ぎる」と批判し、GSが「9」アテンザが「7」という評価を下していました。この不手際を当時ブログでボロクソに叩きました。そして2014年版を見るとお分かりですが、アテンザへの偏見的評価はなにもなかったかのように消え去り、GS「9」アテンザ「9」とこのシリーズでは異例とも言える「得点の書き直し」が行われました。

  この業界を代表するシリーズで1度出された評価が大きく改められたという「事件」は、中型車のサイズにおける「パラダイムの転換」があった!と解釈できます。少なくとも島下泰久氏という自動車評論界の「プリンス」の脳内では全てが変わったはずです。アテンザやアコード、スカイライン、ティアナが「大き過ぎる」のではなく、3シリーズやCクラス、ISが「小さ過ぎる」のだと・・・。そして新たな事実として、3シリーズはセダンやワゴンは小さいですけど、「グランツーリズモ」という5ドアハッチバックのモデルは「大きい」に属します。

  BMWはすでに「パラダイム転換」が起こることを読んでいたわけです。ということで、BMWを手頃な価格でラグジュアリーに乗りたいならば、「3シリーズ・グランツーリズモ」という選択が「現状では」ベストなようです。すでにBMWは第2弾を用意していて、それは「4シリーズグランクーペ」で、さらに「ワイド」&ローが強調され満足できるものになりそうです。この2台が「3シリーズ・グループ」で今後大きな意味を持っていくんじゃないかと思います。

  
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