2015年10月1日木曜日

メルセデスC220 「この状況で売れたら本物?」

  「ディーゼルは欧州では貧乏人のクルマだ!」といって辛辣な輸入車批判コメントがやたらと目立つようになった、某ドイツメーカーのディーゼル問題ですが、メルセデス期待のCクラスディーゼルの日本上陸直前にこんなコメントを目撃してしまったら、購入予定者の気分は一気に萎えてしまいそうですね・・・。けど「安心してください!」、欧州で最もリーズナブルで身近な存在なクルマといえばAセグ・Bセグでup!とかポロといった辺りですが、このクラスにはディーゼルという設定がありません! このクラスでもディーゼルエンジンを載せているのは、ちょっと頭がオカシくなってテーマカラーを全部赤にしてしまっている某日本メーカーだけです。ですから「ディーゼル=貧乏人向け」というのは、何かの間違いでおそらく80年代頃の日本車における話が混ざっている気がします・・・。

  ギブリ・ディーゼルやパナメーラ・ディーゼルは決して貧乏人のクルマとは思わないです。フェラーリとかランボルギーニといったドライサンプの低重心で自然吸気8気筒とか10気筒とか積んでいるクルマから見れば、面白くもなんともない高級車なんでしょうけど、合理的に考えれば車体重量が嵩む中・大型のセダンだからこそディーゼルが相応しいと言えます。まだまだ日本を走る輸入車の主流となっているガソリンターボの方がよっぽど貧乏くさいクルマだなと思いますよ!

  フィールもエンジン重量もどちらも素軽くなった直4ディーゼルの利用価値に早い段階で気がつき、これこそがセダン復活の秘密兵器だ!とBMWやマツダといったスポーティな味付けを得意とするメーカーが真っ先に食い付いたことはいい判断だったと思います。マツダはディーゼルの開発に注力してBMWにシンクロ(同調)することで、ジャーナリスト連中から望外の好評価を得ることに成功しました。ちょっと気になるのは、今回の騒動が早くもBMWに飛び火しているようで、マイナーチェンジがあってディーゼルもエンジンの改良が行われた3シリーズで、320dだけ前期のまま据え置きになっているのはちょっと疑問が残ります・・・大丈夫だとは思いますが。

  今回発表された「C220アヴァンギャルド」の本体価格が約560万円という日本での設定を見る限りでは、メルセデス陣営はBMW320dをまだまだ有力なライバルと見ているようで、320dラグジュアリーとC220アヴァンギャルドはほぼ同じに合わせてきました。ガソリンモデルのアヴァンギャルドと比べると80万円ほど高くなるのも3シリーズとほぼ同じです。ちなみにディーゼル化による価格上昇は各メーカーの思惑が働いていて、マツダ・アテンザは50万円高、新たに参入したボルボS60は戦略価格となっていて衝撃の25万円高!!!さらに・・・ジャガーXEはさらなる驚きの20万円高に抑えられています!!! C220アヴァンギャルド&320dラグジュアリーの560万円に対して、ライバル車となるXEディーゼル・プレステージは535万円とかなり挑戦的です。ちなみにS60D4SEが454万円、アテンザXDプロアクティブが334万円です。

  果たしてこの5モデルの中でどれが優位に立つのか?・・・といっても例の問題が日本でも噴出する可能性が否定できませんので、どうなるかは全くわかりません。また年内には新たにプジョー508がディーゼルを日本に導入させると発表しました(価格は未定)。新たに発売されるアルファロメオ・ジュリアも、おそらく同じ設計を使うマセラティ・ギブリ・ディーゼルの日本導入が決まっているそうなので、同じタイミングでディーゼル搭載車もデビューするはずです(出さない理由がない)。・・・といってもこれらのメーカーはVWと同じボッシュ系のディーゼル車なので今後どうなるかわかりません(くどい!)。アウディA4は・・・(笑)。

  CクラスはAMGモデルも含めて急激にラインナップが増えたので、なんでも揃っているような印象を受けますが、大まかに分類すると、「AMGガソリン8気筒」「ガソリンV6AMGチューン」「ガソリン直4」「ディーゼル直4」の4つに分かれます。ガソリン直4に関しては細かくグレード分けするために、1.6Lと2Lをそれぞれ使い分けていますが、この2つの直4ガソリンターボがクルマ好きからは非常に評判が悪いです。実際のところはどうなのか?というと、確かにメルセデスのガソリン4気筒搭載モデルは、女性や高齢者が使いやすいクルマ作りを目指しているようで、ハンドルやペダルがことごとく軽くなっていて、とてもじゃないですが「エンジンとの対話」を楽しむような設定にはなっていないです。しかしエンジンのフィール自体はBMWの直4と大きな差はないように思います(どっちもドライビングを楽しむレベルのものではない・・・)。

  スカイライン200tにもメルセデスの直4が使われていますが、V35、V36と受け継いできたスカイラインらしい重厚感(いいクルマ感)が木っ端みじんに吹っ飛んでしまう、なんとも薄味なドライブフィールになっています。そもそもメルセデスがエンジンを誇るメーカーでは無いので、直4ターボがCクラスに使われている分には特になんとも思わないですけど、「味」でファンを掴んできたスカイラインに搭載されると確かに「オモチャ」感というか、決して高級車では感じたくはない「エンジンの安っぽさ」がハッキリと解ってしまいます。もちろんですが、メルセデスの戦略としてはフィール豊かなCクラスをご希望なら「C450AMG・4MATIC(863万円)」か「AMG・C63(1195万円)」の2つがありますよ!といったもので、メルセデスが誇る本気モデルへとユーザーを挑発して追い込む意図がチラホラと見え隠れします。

  メルセデスのガソリン直4がどうしてもダメという人は、とりあえず1000万円以上するモデルを買え!だったわけです。こうしたプレミアムブランドのクルマ好きからボッたくる作戦?な販売戦略に楽々付いていける財力があるならばアストンマーティンかポルシェでも買う方がいい気がします。そして1000万円をクルマに支出するのが現実的でない!というごくごく常識的な判断が働く人ならば、スカイライン350GTあたりを無難に選びますよね・・・。そんな悩ましいフィーリング重視のDセグセダン待望論を知ってか?セダンボディで再登場したBMW直列6気筒の340iは救世主になれるのか?本体価格800万円からひと声で150万円引き!みたいなプライスダウンがあるなら・・・。

  そもそも現行の3シリーズとは真逆といっていいくらいに、内外装のデザインで勝負してきたCクラスの車体に魅力を感じているならば、今回のC220の導入はなかなか良い選択肢と言えるかもしれません。まだCクラスのディーゼルは試乗していませんが、E220はボルボS60D4より静かでしたし、マツダと比べてもそれほど遜色ない水準です。じゃあAWDも設定されているアテンザにしておけよ!ってなりますが、今さらマツダのディーゼルを買うのもなんか違う気がするんですよね・・・。スポーツカー並みのハンドリングとレスポンス!といったマツダ車の特徴がことごとく消えてしまっている「アテンザXD」を選ぶのは、私はクルマのこと解ってません!と宣言しているような感じがして・・・なんか嫌です。ディーゼルを選ぶならば、自らスポーティであることを否定するくらいのメルセデスの立ち位置がちょうどいい塩梅かもしれないです。


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