2016年3月27日日曜日

VWが不在で 2016WCOTYの主役は日本車へ BMWセダンに10年ぶりの・・・

  ここ数年はワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)で圧倒的な強さを誇っていたVWから、今回は目立った候補車がなかったこともあってか、2016年は「善戦メーカー」マツダが悲願のロードスターの2冠(ワールドカー、デザイン)に輝く!!!という結果になりました。笑い飯が「M1」チャンピオンになった時のようななんとも微笑ましい気分ですね・・・。もうとっくに報道でご存知とは思いますが、5部門あるうちの残りの3部門は、ラグジュアリーカーが「BMW7er」、ハイパフォーマンスカーが「アウディR8」、グリーンカーが「トヨタ・ミライ」でした。

  ワールドカーのみファイナルエントリーが10台、他の4部門は5台ずつ選ばれていて、合計30エントリーあるのですが、ブランド別だと最多はなんとマツダの「4」。ロードスターとCX3がワールドカーとデザインのダブルノミネートを果たしています。他にも同じ組み合わせのダブルノミネートが2台もあって、1つはランドローバー「ディスカバリー・スポーツ」、もう1つはジャガー「XE」。ほかにも「ランドローバースポーツ」と「XF」のノミネートもあるので、ジャガー・ランドローバーを合計すれば「6」となります。どうやらマツダとジャガー・ランドローバーの年だったようです。

  今回のワールドカーもどうせ常勝VWグループから選ばれるだろうから、アウディA4が受賞するだろうと思い込んでいたので、これは少々意外な結果でしたね。やはり「例の件」が影を落としているのかな。欧州ではA4の主力エンジンはディーゼルなので、まさに長いスパンだったA4の先代モデルも「該当車」の1台になるわけで、どうやら「厳正なコンペ(笑)」に水を差してしまいました。昨晩に行われたドバイ・シーマクラシックの日本馬ドゥラメンテの一件みたいな後味の悪さが・・・。

  これまでのWCOTYの受賞車を見てみると、A6、TT、RS4、R8とアウディの躍進を支えた「四天王」がことごとく受賞していて、アウディとともに歩んできた賞なんだな・・・という印象は否めないので、今回のWCOTYでVWとアウディの立て直しを図るのでは?と思ってたんですけどね。来年こそは新型A6がラグジュアリーカーで、早いサイクルでの更新が噂されるゴルフがワールドカーにダブルノミネートしてきて「復活劇」となるんでしょうか?

  2011年の「リーフ」のワールドカー受賞以来5年ぶりとなる日本車の受賞。その間欧州車以外の受賞は2013年のテスラ・モデルS(グリーンカー)のみ。日本車や米国車にとっては果てしなく高い壁なので、それを越えたモデルはどれも文句なしの「名車」ぞろいです。レクサスLS、日産GT-R・・・そしてマツダ・デミオ! マツダはこの賞をやたらと意識しているようで、小型車といえどもデザインにこだわる姿勢を貫いてきました。コンパクトカーだけでなく、中型もしくはスポーツモデルでの受賞がマツダの悲願でしたが、アテンザやアクセラが一歩届きませんでした。今回はCX3もノミネートされるなど、マツダのデザイン戦略が決して「独りよがり」になっていないことは証明されつつあるようです。

  その一方で一流の欧州車にとっては、ノミネートされるのは当たり前!受賞して初めて「失敗作ではない」という保証が得られる!?ものになってます。そういう意味ではラグジュアリーカーに選ばれた「BMW・7er」にとっては意義深い受賞だったと思います。2000年代にアウディに追い上げられ、2010年代にはメルセデスの復調もあり、この10年で注目度をかなり落としてしまった感があるBMW。近年の受賞車はi3やi8などEVばかりになっています。

  BMWの真髄といわれるセダンでは2006年にE90(先代)の3erがワールドカーを受賞してますが、これは失礼ですが・・・「E46」の七光りです。E90がどうというわけではないですが、さすがにE46は偉大すぎました。このクルマは他のメーカーの開発者から多くの尊敬を集めました。日産の水野和敏さんやマツダの金井誠太さん(会長)などなど。E46が親分でスカイライン、アルテッツァ(レクサスIS)、アテンザ、アコード、アルファ156/159、プジョー406/407といった粒ぞろいな子分達、これらが「スポーツセダン」という一大勢力を築いていました。そんな偉大過ぎる「武田信玄」みたいな「E46」の後継として出てくるのは注目こそされるけど・・・ちょっとつらかってですね。

  このE90のデビュー時の受賞以降は、BMWのセダンは低迷します。F01(7er)、F10(5er)、F30(3er)はそれぞれ派生モデル(クーペやクロスオーバー)も含めて10年あまり一度も受賞できませんでした。セダンが全体的に不調な時期であり、デザイン賞でカマロとラピードが受賞したくらいだったのも確かですが・・・。親分が転けて、子分格もみんな転けてしまった。BMWに全ての責任を押し付けるのは筋違いですけども、いまのBMWを低迷から救い、再び浮上させるためには、「E46」のようなライバル全てを巻き込むくらいの偉大な「キング」が必要だと思います。

  そんなE46の「格」になれそうなクルマが、今のBMWでは「7er」とあと「M2」くらいかなと思います。マセラティがセダンのラインナップを拡充し、キャデラックがふたたびフルサイズのFRを仕立ててきましたけども、「高級車」としての充実した価値をジワジワを感じさせてくれるという点で「7er」は魅力です。クワトロポルテ、CT6、XJよりも「知性」を感じさせてくれます。実家を飛び出し立身出世を目指して苦節20年!その末に成功を掴んだ現代社会のヒーローが、実家のお袋さんを迎えにいくために選ぶクルマ!これこそが「知性のクルマ」だとわたしは思っているんですけど、そのポジションはメルセデス・レクサス・ジャガー・マセラティ・キャデラックを押し退けてBMWの「7er」が相応しい!・・・あくまで貴族出身ではない「わたし」の価値観においてですが。

  「BMWならなんでもいいじゃん」という考え(邪念)がとても嫌いです。今月号のルボランのようにBMW特集とか読むのはひたすらに苦痛です。全ラインナップの集合写真とか絶対にやめてもらいたい(同じ顔過ぎて気持ちが悪い)。いっそのこと・・・日本市場は「7er」と「M2」だけにして他のモデルは全て処分してほしいです。そのほうがBMWの価値はずっと上がりますよ。「i3」や「i8」にしてもお試し期間もとっくに終了して日本ではどうやっても商売にならないことがハッキリしてきました。FFモデルやSUVなど車種を増やせば増やすほど、忠誠心に溢れていたユーザーは離れていきますよ。「グランクーペ」も「SUV」も「ファミリーカー」も上手くいかなかった・・・というより最初から無理。どう考えてもE46のような起爆力が無いです。

  「グランクーペ」が欲しいという奇特な客にはロールスを売ればいい。SUVやファミリーカーならミニでいくらでも賄えます。いっそのことX5の兄弟車を作ってミニブランドで売ったほうが注目されて喝采されるはず。さて伝統の6erはどうしたものか!? フェラーリ・カリフォルニアにも勝てるくらいのFRラグジュアリーを本気で作る気概がまだまだBMWにはあると信じたいですけども、現行の焼き直しになるなら止めたほうがいい・・・どんどんブランド価値がブレるだけ。

  「7er」に全力投球して「Sクラス」に勝利し、「M2」にさらに磨きをかければポルシェを打破することもできるでしょう。極論すればBMWの「価値」はSクラスかポルシェを越えることです。日本でホンダ・オデッセイよりも手軽な価格の3例シートミニバンを売っているなんて幻滅ですよ・・・。


リンク
最新投稿まとめブログ


  

  

  

  




2016年3月21日月曜日

ボルボ =「スカンジナビアン」という絶望的なセンス・・・。

「スカンジナビアン」って何それ?なんかとってもアホくさいんですけど・・・


  ボルボ・カー・ジャパンが自ら「スカンジナビアン」を標榜しているわけではないです!!! 主に見かけるのは「モーター・マガジン」という・・・チンケな日本の自動車雑誌の誌上です。それにしてもまったく読んでる方が恥ずかしくなってしまうコピーですね・・・20年前の電通でもこんなベタな表現はしなかったと思いますけどね。「スカンジナビアン・ラグジュアリー」という言葉だけで、勝手に読者に想像させようという、ポリシーの無い書き手の「感覚」がとてもイヤですね。

  「スカンジナビアン」って一体どんなヤツだよ?・・・なんて言ってしまうと、コイツはスカンジナビア半島もしらないのか?とバカにされかねないヘナチョコなインテリ主義がどうも苦手です。世界の地名を知っているだけで「インテリ」かよ!?なんだか幕末か明治の価値観のままで進歩がないですよね〜・・・。アラビア半島やクリミア半島で起こっていることには興味がないけど、イベリア半島やスカンジナビア半島は大好き!ケルト人やバスク人のことはあれこれドヤ顔で話すオバさんいませんか?そんな人に限ってアイヌについては何も知らなかったりします・・・。

  そもそもノルウェなんてグーグルアースで見る限り、長野県みたいな景色の中にグランドキャニオンみたいな峡谷がくっついただけの不便そうなところです。山と海の絶景が近接していて非常にダイナミックで見てみたい気はします(日本にも「親不知」があるさ!)。 だけど残念なことに物価が異常に高いようですね。金銭感覚が麻痺した金持ち以外は、旅行が楽しめない禁断の観光地です。物価が高いせいか?住人の購買意欲が非常に低く推移しているようで、商店などはそれこそ必要最低限しかなく、その他のインフラもあまり整っていない模様。フィヨルドのせいとはいえ、隣接する地域への移動は鉄道やバスよりもフェリーが断然に便利なんて・・・瀬戸内海の離島か?

  そんな北欧の国々の生活を、「1人当たりのGDP」が高いだけで「素晴らしい!」とやたらめったら評価しているのが日本の新聞ですね(モーターマガジンと同レベル)。低成長な日本にとってはアメリカや中国よりもスウェーデンやノルウェーがお手本だ!とでも書いておけば、そこそこ説得力が生まれて購読料が獲れる。しかし現実には、アメリカや中国の「財・サービス」こそが日本を絶えず変化させているのは間違いでしょうし、欧州から見ればおそらく、日本はアメリカや中国のような「経済のパラダイム」に位置する国だと区分されると思いますけどね。

  日本でもアメリカでも中国でも「日本車」はそこそこ・・・いや大人気なんですが、モーター・マガジンが言う「スカンジナビアン」はあまり売れてないです。「日本車」とはぜんぜん違う文化・・・「スカンジナビアン」ですから、まあ仕方がないかもしれないです。アメリカや中国でバカ売れしているポルシェやフェラーリの内装の素材はカーボンやアルミでアクセントを付けますが、「スカンジナビアン」は・・・いや最新のボルボXC90では、福野さんの解説によると「ウォルナットのガンストック」だそうです(実物を見に行くしかねぇ)!

  ボルボも「北欧調の仕上げ」と言っているそうなので、「コピー」にはあまりこだわっていたりはしないのでしょうが、それにしても「スカンジナビアン」はあんまりですよね・・・。フィンランドで製造されているメルセデスAクラスも正真正銘の「スカンジナビアン」なんですけどね。「ボルボ→スウェーデン→スカンジナビアン→何か」という絶望的な発想を「幇助」するだけのバカ・ライターが跋扈する中で、福野礼一郎氏は80年前からある由緒ある「仕上げ」がガンストックだ!とXC90のページで熱く書いています。ベントレー出身のインテリアデザイナーの仕事ぶりと素材について、いつも以上に火花が散ってます!この部分だけでも今月号は大満足!・・・これこそプロの仕事!「モーターファン・イラストレーティッド」の「ニューカー二番搾り」は4ページに渡ってますが「スカンジナビア」なんてアバウトな単語は1度も登場しません。

  さて日本の人々が「スカンジナビアン」という怪しい「文化コード」にそこそこの関心を示すことは結構なんですけど、なんだかそこに群がる人々のノリが「軽い」のは気になるんです。IKEAの商品を買って一度として満足したことありますか?・・・私は特にはないです。ボルボのクルマで絶対に所有したいほどに気に入ったものはありますか?・・・フォード・クオリティこそ感じますけど、そこに「スカンジナビアン」を体現するものを意識したことはないですね。

  くっそ寒い辺境の地域なのに、平均所得が日本やアメリカよりも高い・・・そんな国(ノルウェー)からサーモン買っている日本。人件費は高いはずなのに、誰が魚を育てているのかな?ポーランド人か?シリア人か? 一説によると引退世代への公的給付がやたらと手厚いので、家からめったに出ない金持ちが美味しいものに高いカネ払っているから、自然と生活物価が高く維持されるらしいです。

  そんな地方にお住まいのエンジニアが、コツコツと質感のよい高性能車をつくっている?・・・神秘のブランド?が「スカンジナビア〜ン!」な「ボルボ」です!!!。一時は深刻な経営不振で見通しが立たず、日本市場からの撤退すら噂されましたが、スウェーデン政府の内国産業保護政策と某国の「爆買い」というダブルの恩恵によって不死鳥のように復活して、再びラインナップを拡充してきました。

  先頃もどこから拠出されたか知りませんが、1兆円を越える額の新規投資によってさらなるラインナップの拡充がはかられた!と大々的に報じられました。1兆円といえば、マツダやスバルの年間売り上げの半分に匹敵しますから、現状ではさらに売り上げが低いボルボにとっては異例中の異例・・・まさに「爆買い」です。

  そういえば先日読んだマツダの本には、「カネをかければいいってもんじゃない!頭を使わなければいいクルマは作れない!」とマツダ幹部の暑苦しいまでの「檄文」が載ってましたが・・・。「頭を使うマツダ」と、「カネを使うボルボ」、同じ釜のメシを喰ってきた仲ですね・・・果たして5年後の両者のポジションはどうなっているのでしょうか?(誰かマツダにカネ出してあげて!)
あと「スカンジナビアン VS スカイアクティブ」というのもやめて!!!
「Drive-E」が全然定着してないです!!!


リンク
最新投稿まとめブログ

2016年3月15日火曜日

ボルボXC90 ドレッドノート級が・・・売れた〜!!!

  アウディ?メルセデス?マツダ?・・・これらのブランドと見紛うエクステリアに変わったボルボの新デザインがウケたのか? それとも予想を裏切って1000万円クラスのラグジュアリーSUVを仕上げてきた新生ボルボの気合に人々が拍手喝采で共感したのか? ボルボの大型ラグジュアリーSUVである「XC90」は、先行して販売が始まっている欧州では、レクサスLS(日本では価格帯が同じ!)などよりもたくさん売れているようです。LSは8気筒、XC90は4気筒なんですけどね・・・日本と違って欧州は合理的なんですね。

  やっぱり「7人乗り」の魅力は日本でも欧州でも同じなんでしょうね。日本でも10年ほど前を考えると、「アルテッツァ」や「S2000」など中古車で大人気のモデルが発売されていたにも関わらず、圧倒的に販売を伸ばしたのがミニバンでした。海外メディアからも「究極の走り」と絶賛されるほどの「傑作車」といえるスポーティモデルを、トヨタやホンダが比較的にお手軽な価格で出していても、「7人乗り」の魅力にはまったく及ばなかった・・・残念ですがこれが現実でした。

  もちろん「スポーティモデル」と「7人乗り」では・・・ユーザーに訴えるポイントが全く違うわけですが、世界屈指の「スポーティ」よりも、「7人乗り」の方がセールスポイントとしては圧倒的に「弾力性」が高かった!というだけの話です。いまでもクルマ好きは「日産がシルビアを復活させれば絶対に売れる!」などどグダグダ言ってますけども、当該モデルが売れることだけを考えるならば、総合メーカーがスポーティなモデルを作るという選択肢はほぼ無いでしょう。ロードスターやS660のように「2座」と割り切ったスポーツカーの方がそこそこ売れる時代ではあるようですが・・・。

  そういう状況にも関わらず、マツダとかいう日本メーカーは何を思ったのか、今後は順次ミニバンの生産を終了させて、ボルボXC90と同じクラスのSUVに3列シートを組み込んで売ることにしたようです。ミニバンでの採算に苦しんでいた事情はわかりますけども、最もこの変革が欲しかったジャンルがミニバンなんじゃないの?と思うので、あまり賢明な判断ではない気がします。新型SUVの投入はともかく、ミニバンやワゴンをマツダの感覚で「7人乗り」のまま新しくデザインすることが、このメーカーの生き残る数少ない選択肢だったんじゃないでしょうか・・・。ボルボは見事に掘り当てましたが、マツダのSUV作りはタイミング的にどうなんだ!?

  当たり前のことですが、世界で販売される乗用車は、①2人乗り(1列)、②4〜5人乗り(2列)、③7〜8人乗り(3列)の3パターンに分けられます。かつては独身男性が①に憧れつつ、結婚を考えて現実路線の②を選び、実際に結婚して子どもがちょっと大きくなると③にするといったカーライフのサイクルがあったようです。しかし今では、まだまだ結婚など考えない独身男性が最初から③を選びます(グループで遊ぶため)!!!結婚すると仲間と遊ばなくなるので、今度はクルマを手放す・・・。日本の子育て環境は非常に過酷で、子育てビジネスでさんざんに生活費をむしり取られる間は、「新車」でクルマを買うなんて感覚は一般的ではないようです。

  もしクルマが好きで2台持ちが可能ならば、走りのクルマは①で、家族とのクルマは③というギャップを持たせた所有が非常に合理的かもしれません。①の候補は・・・マツダロードスター、ホンダS660、ロータスエリーゼ、ポルシェボクスター/ケイマンなどなど。それに引き換え③の候補は・・・「アルファード/ヴェルファイア」以外には、これといったクルマがなかったりします。ランクルやパジェロはいかにも武骨で、アウトランダー、ステップワゴン、ボクシィ/ノア、セレナ・・・2シリーズグランツアラー、プジョー5008を含めて、キャラがちょっと弱いですね。もっとクルマ全体から独自の世界観を醸しているような惹きのあるモデルが欲しいです。

  ボルボXC90が欧州で好調な理由も、おそらくこの「2台持ち」というトレンドの中で、③の需要を満たすことに成功したからという気がします。もちろん「XC90」のパッケージの良さ、ボルボブランドの堅実なイメージ、そして品のあるエクステリアなど要件は見事に揃っているわけですが・・・。日本に「アル/ヴェル」があるならば、スウェーデンには「XC90」があるんだぞ! ドイツ、イギリス、イタリア、フランスがなかなか入って来れない領域とも言えそうです。3列シート車のWCOTYの部門があれば注目されそうですけど、まだまだグローバル車が少ないので無理かも。「アルファード/ヴェルファイア」「XC90」と並ぶ「エレガント」な巨艦主義(2トンオーバー!)の3列シート車となると・・・

日産「エルグランド」
マツダ「MPV」
キャデラック「エスカレード」
フォード「エクスプローラ」
リンカーン「ナビゲーター」
メルセデス「GL」
メルセデス「Vクラス」

  やはりというか・・・「巨艦主義」がどこの国から発信されたムーブメントなのか?これを見るとハッキリとわかります。日本でもキャデラック、フォード、リンカーンといったブランドで売れる数少ないモデルではあったようです。すでに発表されている通り、フォードとリンカーンは年内に撤退するので、その穴を埋める1000万円超のプレミアム・フルサイズSUVと、400〜600万円クラスのラージSUVがこれからそれなりに求められそうです。

  ジャガー、マセラティ、ベントレー、ランボルギーニなど高級ブランドからもSUVの参入が予定されているので、より大きくて存在感が発揮出来る「ドレッドノート級」の人気が日本でも高まるのではないかと思われます(フォード無念・・・)。ボルボに加えて、マツダやスバルにとっても一気にブランドのラインナップを拡大するチャンス到来かもしれません。


リンク
最新投稿まとめブログ
  

  

  

  

  

  

2016年3月2日水曜日

アルファロメオ・ジュリア 「GTセダンの鎮魂歌!?」

  ほんの10年前までは、そこいら中のカーメディアで「最強のGTカーはどれだ?」みたいなハッピーな企画をやっていました。そもそも「GTカー(グランドツアラー)」という表現自体が最近ではあまり見られず、とにかく「スポーツカー」「スポーツモデル」という表現に終始してます(読者の多い雑誌ではウザいカーキチさんになにかと絡まれるのは勘弁なんでしょうけども・・・)。

  「グランドツアラー」という表現の中には、「乗用車」と「趣味車」の要素が両立していて、さらに「自分のクルマ」というニュアンスもあるので、とっても気持ちがいい言葉です。・・・暗黙の了解かどうかはわかりませんが、総額で2000万円越えたらもはや「乗用車」の域は完全に逸脱してると思いますから「グランドツアラー」の定義から除外でいいと思います。2000万円越えたら、それは「サーキットで走るクルマ」、あるいは「お台場や大黒で見せびらかすクルマ」ですね。

  10年くらい前はまだまだフェラーリもポルシェもせいぜい400ps程度の出力に収まっていて、フェラーリが2000万円以下、ポルシェは1000万円以下で買えた時代です。次元が違うくらいに超絶に速いクルマが欲しい人は、競技用に作られたシャシーを持つベース車(ポルシェか日産)を買って、1000~2000万円くらいの大金を叩いてチューンして600ps台を手に入れていた・・・そんな話を年配のクルマ好きな人々からはしょっちゅう聞かされます。

  話を聞く限りでは・・・600psで武装した某国産メーカーの改造車が、首都高湾岸線を我がもの顔で走っていたら、さぞかし迷惑千万で当然に「規制すべき」ではあったと思います。さて当局から自動車メーカーにどんな圧力があったのかわかりませんが、2002年には排ガス規制強化とともに国産の有名スポーツモデルが多数姿を消すという事態になりました。それでもしばらくは中古車のタマ数も豊富で、NSX、S2000、ランエボ、インプレッサSTIなどの生産が続いていましたから、すぐには風潮が変わることはなかったようです。・・・それから10年以上が経過した今になってなんかジワジワ効いてきたのかもしれません。公共交通機関と都市機能の充実による「クルマ離れ」と、欲しいクルマがなかなか見つからない「クルマ文化の空洞化」は・・・別物!!!

  カーメディアもこの10年で大きく様変わりしました。2000年代前半の雑誌を改めて広げてみると、なんとも素朴で心地よい文章が多いです。今とは何が違うのか、身も蓋もないですが、書いている人も違えば、扱っているクルマも違う・・・だから全てが違う!のかな・・。欧州のセレブがサーキットでモータースポーツを楽しむために作られた「道具」を、あたかも「乗用車」としてインプレする雑誌が多いです。ランボルギーニの詳しい乗り心地なんてほとんどの人は興味はないですから。それから大衆向けの市販「乗用車」を、サーキット基準で検分しようとする愚行も(そんなことやってるから乗り心地が悪くなるスタビを不必要に入れるメーカーが現れる)、・・・市販車を片っ端から筑波サーキットに持って行ってタイム計測して悦に入っているクソ雑誌がありますね・・・。

  ちょっと的外れかもしれないですけど、クルマがつまらなくなった理由はまだあると思います。2007年に某日本メーカーが超絶スポーツカーを発売して世界中で話題になりました。開発者のMさんはメディアに出てきておしゃべりするのも大好きなようで、それが「神様の言葉」であるかのようにカーメディアの編集部員の間に広まりました。「スーパーカーは専門のディーラーで販売すべきだ!」「公道テストができない日本ではいいクルマは作れない!」「ニュルブルックリンクでタイムが出せるクルマこそが至高!」・・・突然に日本の市販車の出力が480psまで跳ね上がり、これまで日本のクルマ文化を支えてきたチューニングショップの仕事をことごとく奪いました。「純正部品以外を使ったら、すぐに保証を打ち切ります!」なんて覚書を交わさないと購入できない仕組みなんてさ・・・ゴミだな。

  この2007年を境に、どんどんとカーメディアは狂ってきたようで、クルマ文化の多様性を作り出してきた名門チューナーは次々と廃業し、後からでてくる次世代の「スペシャルなクルマ」は500ps、600psと最高出力を上げ続けます。価格も3000万円、4000万円が当たり前に・・・これでは「グランドツアラー」が死語になるのも仕方ないですね。「クルマつまんないな・・・」という雰囲気を作っちまった一端は・・・Mさんとその超絶スポーツカーにあるんじゃないですか? ポルシェもBMWもこの辺から魅力が褪せてきたように思います。

  さてスッキリしないジジイの回顧談みたいなしょぼくれた話が続きましたが、今ではMさんは退役し某超絶スポーツカーもだんだんと風化した存在になってきました。先日のデトロイトMSでは新たな2ドアのスペシャルティカーが続々と登場してきて、新しい時代が始まりつつあることを感じます。トヨタ86のような新たな「グランドツアラー」候補も今ではすっかり定番車種に落ち着きました(市民権を得ました!)。個人的に永久保存版として気に入っているレビューの1つに、2001年に発売された「SIGHT」春号に収録されているイギリスメディアによるものがあるのですが、そこで扱われているような「色彩豊かな」スペシャルティカーが再び増えてくれそうな予感です。

  そのレビューでは20台もの人気スポーツモデルを集めていて、ユーモアあふれるライターが、個人所有のユーザー目線でクルマの良し悪しを述べています。20台の中で最も高価なのが「フェラーリ360モデナ」ですが、クルマの性格としては超絶スーパーカーというほどではないようで、3.6L(400ps)のV8は、同じくエントリーされているBMW・Z8の5L(400ps)のV8にパワーでは劣る・・・なんて書かれています。「360モデナ」「Z8」「ロータス・エキシージ」「TVRタスカン」の4台でスーパーカー部門が争われますが、1.8Lのトヨタエンジンを使うエキシージが360モデナとともに勝ち抜く!というなかなか溜飲の下がる展開です。

  BMW・Mのエンジンとフェラーリのエンジンが400psという常識の範囲内で並び立つから、リアリティがあって楽しめます。もしこの20台がここ数年のF1に参戦したフォーミュラカーに置き換えられていたら、あきれちゃいますよね・・・。これがマクラーレン、ランボルギーニ、サリーン、ブガティ、ケーニッグセグ、パガーニだったら・・・やっぱりあきれちゃいますよね。600psオーバーのフェラーリ488GTBはアメリカ基準なんでしょうけども、もうモータースポーツ専門誌で扱えばいいじゃん。

  「BMW・M2」「レクサスRC-F」「ロータス・エヴォーラ」「ジャガー・Fタイプ」「ジャガーXE・S」「アストンマーティン・V8ヴァンテージ」「アルファ4C」「アウディS1」「キャデラックATS-V」「A45AMG」「CLA45AMG」「AMG・GT」「ミニ・ロードスター・JCW」「ゴルフR」「プジョー308GTi」「プジョーRCZ」「ルノーメガーヌRS」「ポルシェ718」・・・・あとは「ホンダS2000」「マツダRX7」が復活してくれれば。それからもちろん「アルファ・ジュリアQV」・・・510psの「バカ仕様」みたいですけども。


リンク
最新投稿まとめブログ